エー、久しぶりに長屋の連中が集まって、大家のガルマルさんちへ行ってきました。まぁ、例によって、テレビを見に行ってきたんですがね。そしたら、サイボーグのことをやってまして、脳から出てくる電気信号を読み取って、手や足を動かしたりすることができるんですな。義足とか、義手ってのが、脳の思うように動かすことができるんだそうです。すごい世の中ですな。
八「隠居、いるかい?」
隠「ああ、いるよ、きょうはどうしたい?」
八「昨日、大家の家でみた番組な、気持ち悪かったよな」
隠「そうですか」
八「ほら、あの、脳の中に電極刺したりしてさ、なんだか、気持ち悪いよ」
隠「まぁ、そうして、脳から出てくる電気信号を取り出すんだからしょうがないよ」
八「娘が言うにはな、AIってのを使えば、脳に変なもの刺さなくてもいいんじゃないか、ってんだけどさ。AIってなんだろうね?」
隠「本当に八の娘は物知りだね。娘さんに聞けばいいじゃないか」
八「そんなこといってもさ、親としては、聞きにくいから隠居に聞いてるんじゃないか」
隠「まぁ、教えてあげてもいいんですけどね、」
八「そんなこといってさ、本当はAIっていうの何かを知らないんじゃないの」
隠「(ぎくっ)な、な、何をいうんですか。知ってますよ」
八「ほう、じゃあ、なんだい」
隠「AIってのはね、あしたは、インテリの略なんです。つまりですな、常に、インテリになろうと努力することによって、義足や義手を動かそうというわけなんです」
八「ふうん、そうか、」
神「何をいってんだろうね。八に嘘ついちゃいけないよ」
隠「ああ、いたんですか。嘘ってことはないでしょう」
神「AIってのは、人工知能のことなんです。八の娘は人工知能を使えば、脳に電極を刺さなくてもいいんじゃないかって思ったんだよ。八に似合わず賢いね。偉いよ、八の娘は。隣に、嘘ばっかりついている隠居がいても、ちゃんと勉強してるんだもんね」
隠「なんですと、嘘ばっかりじゃないですよ。時々、ほんとのこともいいますよ」
神「何いってんだかね、あんたはね、義脳がいるよ」
隠「なんですか、義脳って」
神「義手は手がない人用の人工の手だろう。義脳は脳のない人のための人工の脳だよ」
隠「なんですと、じゃあ、あたしは脳がないっていうんですか?」
神「あると思ってたのかい、まぁ、図々しいよ、この人は」
隠「図々しいとはなんですか」
八「また、けんかが始まったよ。じゃあな」
といって、八は帰って行きました。というわけで、サイボーグ009のような人達が町に溢れるようになるのも、もうすぐなのかもしれません。