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2006年 04月 18日 ( 1 )

粗忽比べ

えー、粗忽者というのがいますな。とてもそそっかしい人のことです。まぁ、非常識なくらいそそっかしいのです。

ところで、落語に粗忽長屋という噺があります。八五郎という人が道を歩いていると道ばたで死んでいる人を発見します。今なら、道ばたで人が死んでいたら大変なことになりますけれど、昔は、それほど珍しいことでもなかったのでしょう。八五郎さんは、その死んでいる人の顔を見て驚きます。なんと、同じ長屋に住んでいる熊さんだったのです。それで、慌てて長屋に帰ります。
八「おい、熊、お前、死んでたぞ」
熊「えっ、本当か?」
ってなわけで、二人は急いで、熊さんの死体があったところにいきます。すると、確かに熊さんが死んでいるではありませんか。びっくりした熊さんは、死体の熊さんを抱き上げます。
熊「確かに死んでいるのは俺だが、死んでいる俺を抱き上げているのは誰なんだ?」
というような落ちがつく噺です。

まぁ、なんといいましょうか、自分の死体を抱き上げるほど粗忽な人というものは珍しいのですが、同じような噺があたし達の長屋の住人にも起きたのであります。それは、長屋の住人が集まって、ハイキングに行ったときのことでした。まぁ、ハイキングというよりは、登山に近いような深い山に入ったのですが、それこそ、野生のクマが出てもおかしくないようなところでした。

あたしの住んでいる長屋には、あたしの家族、八の家族、そして、熊の家族が住んでいます。その中でも、八と熊はとんでもなくそそっかしいのであります。あたしと八と熊の三人でハイキングに行ったのであります。最初は一緒に出発したのですが、上るにつれて熊はどんどん先に行ってしまうし、あたしは他の二人にどんどん後れをとって最後を歩いていました。八は、ちょうど、熊とあたしの間を歩いていました。

八「(道を歩いていると)あれ、山の上から熊の野郎がこっちに向かって走ってくるよ。一番先を歩いていたのになぁ。もう、頂上まで行って帰るところなのかな。それにしても、妙に慌ててるよ」

そう言ってる間にも、熊が近づいてきます。

八「おい、熊、下り坂を走ると危ないぞ。ちゃんと、前向いてな。そのままだとおいらとぶつかっちまうぞ」

といってる間に、熊は八にぶつかってしまいます。八は衝突に備えて体を硬くして目を閉じます。

でも、何もぶつからないのです。そっと目を開けて、下を見ると、熊がどんどん坂を下っているのが見えます。

八「あれ、今熊がぶつかったのに、全然、衝撃がなかったな。するっとおいらの体の中を通り抜けてってことかい。どうなってるんだ。しかし、熊のやろう、どうしたんだろうな。あんな勢いで下っていきやがった。頂上まで行ったんで、先に下に降りておいら達を待っているつもりなのかな。まぁ、いいや、おいらはマイペースで上ることにしよう。後ろには隠居もいることだし」

と、山道をすごい勢いで下っていく熊を不思議に思いながらも八は山を登り続けます。

しばらく上っていくと、

八「あれ、あんなところに人が倒れてるぞ。どうしたんだ」

といって、八は近づきます。

八「(倒れた人を見て)おや、これは、熊じゃないか。・・・あれ、さっき、俺にぶつかって、通り抜けたばかりじゃねえか。・・・・・さっきの熊は下に降りてったけど、この熊はここで死んでやがる。どうなってんだ。・・・・・そういや、さっきは様子がおかしかったよな。熊に挨拶しようと思ったら、するっとおいらの体をすり抜けたもんな。やっぱり、熊は死んでたんだ。おお、くわばら、くわばら。なんまいだぶ、なんまいだぶ・・・・・さっきおいらにぶつかった熊は、自分が死んだこと知らないんじゃないかな。そんなに時間がたってないから、まだ遠くに行っちゃいまい。さっきの熊を追っかけて、知らせてやろう」

八は急いで、熊を追いかけようとします。すると、倒れていた熊が、すくっと立ち上がって、

熊「おい、八、俺は死んでないよ。慌てるなよ、この粗忽者が」

八「(驚いて)おや、熊、生きてたのかい」

熊「ああ、この通り生きてるよ」

八「じゃあ、なんで、こんなところで死んだふりして倒れていたんだ」

熊「近くを野生のクマが通ったんで死んだふりをしていた」

八「じゃあ、おいらがさっきあった熊は誰なんだい?」

熊「ああ、俺は死んだふりをしたのに、あいつは逃げたんだ」

八「はあん、死んだふりした熊と逃げた熊がいるわけか。どっちが熊なんだ」

熊「逃げて八にぶつかったのも熊だし、ここにいる俺も熊だよ」

八「なあんだ、そういうことかい、どっちも熊かい。安心したよ」

まぁ、そういうわけで、熊が野生のクマにあって死んだふりという噺です。八と熊、どちらが粗忽者なんでしょうね。粗忽比べという噺でした。
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by garumaru | 2006-04-18 18:40




隠居の研究所
by garumaru
登場人物
隠居

八五郎=隠居の隣人、植木職人

熊吉=隣人、大工

電気ポット=主人公
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